昔ながらの鍛冶技法の伝統を後世に伝える貴重な儀式「吹子祭」が、足利市福富新町の鉄工団地内の一角にある金山神社で厳かに行われます。この神社の祭神は、鉱山・金属業を司る神様である金山彦命(かなやまひこのみこと)であり、本宮は岐阜県垂井町にある南宮大社です。大正13年に当時の関係者が、そのご分体を足利市伊勢町の飯成神社境内に祀りましたが、その後、昭和49年に現在地に遷宮しました。
毎年12月、年1回の大祭では、古式に則る鍛錬式を行います。“ふいご”で火を起こし、灼熱した鉄棒を鍛冶の鍛錬により輪となし前年の輪と繋げて鎖として神社に奉納する式で、ふいごまつりと呼ばれています。昔ながらの伝統を後世に伝える意義深い儀式です。
鍛冶職にとってもっとも大切な鞴(ふいご)に感謝し、鉄工の神様に鉄工関係者の安全と繁栄を祈願します。
足利鉄工協同組合・鉄工団地協同組合員から選ばれた5人の鍛冶鍛錬者達(奉行:見分役。横座:親方[小槌をもち、指図する役]、先手2名:大槌により材料から形を作る役、鞴:炉の管理役)が烏帽子(えぼし)、直垂(ひたたれ)白装束をまとい、力を合わせてひとつの新しい鉄の輪を鍛え作ります。会場には「トンテンカン、トンテンカン」と金床に金槌を打ちつける音が響きわたります。20分ほどで鉄の輪が完成し、代々続く鉄の輪につなぎ、新たな鎖として神社に奉納します。